こんにちは!スポーツシューズNAVIのFです。
ゴアテックス(GORE-TEX)のシューズ、便利ですよね。雨の日の通勤やウォーキングシューズとして愛用している方も多いかなと思います。スニーカータイプからビジネスシューズに見えるものまで色々ありますし、あの防水性は本当に頼りになります。
でも、お手入れってどうしてますか?「防水だからガシガシ水洗いしていいの?」「最近なんだか蒸れやすくなった気がする」「匂いが取れない」…そんな悩み、ありませんか。軽量性やクッション性が良くても、通気性 が悪くなると履き心地が落ちて疲れやすくなってしまいますよね。
実は、ゴアテックスシューズのお手入れ方法って、ちょっと特殊なんです。間違ったケアをすると、せっかくの「蒸れない」という最大のメリット(透湿性)が失われてしまうことも…。
そこでこの記事では、ゴアテックスシューズの性能を長く保つための基本的なお手入れ方法について、大事なポイントをまとめてみました。
- ゴアテックスのお手入れで一番大事なこと
- 素材別(スエード・レザー)の洗い方
- やってはいけない乾燥方法と保管のコツ
- 撥水スプレーの正しい選び方と使い方
基本のゴアテックスシューズ お手入れ方法

まずは、ゴアテックスシューズのお手入れの「基本のき」から見ていきましょう。なぜお手入れが必要なのか、基本的な洗い方や素材ごとの違いなど、ここを抑えておけば大きな失敗は防げるはずです!
メンテの目的は透湿性の維持

まず一番大事なことから。ゴアテックスのお手入れって、「防水性」のためじゃなく「透湿性(蒸れを逃がす力)」を維持するためなんです。
「え?防水じゃないの?」って思うかもですが、防水機能はGORE-TEXメンブレンっていうフィルム自体が持ってる物理的な機能なので、汚れで簡単になくなるものじゃないんですね。
GORE-TEXメンブレンとは? ゴアテックスの心臓部とも言える、水滴よりはるかに小さく、水蒸気(汗)の分子よりは大きい、無数の微細な孔(あな)を持つフィルムのことです。この構造が「水は通さないけど、汗の蒸気は外に出す」という相反する機能を実現しています。
問題は「透湿性」。このメンブレンの孔が詰まると、汗(水蒸気)が外に出られなくなります。詰まりの原因は2つあります。
- 外からの汚れ: 泥やホコリが靴の表面に付着し、孔を塞ぐ。
- 内からの汚れ: 汗の塩分や皮脂が、内側から孔を塞ぐ。
これが「蒸れ」の正体。外から濡れてないのに、中が汗でビッショリ…これが一番避けたい事態ですね。
だから、お手入れの目的は「フィルムの穴を、外からと内からの両方で詰まらせないこと」。これを覚えておくだけで、選ぶ洗剤やスプレーが変わってくると思います。
汚れ落としと洗い方の手順

じゃあ、具体的にどう洗うかですね。ゴアテックスウェアと違って、シューズは洗濯機NG。基本は「手洗い」です。
Step 1: 準備(靴紐とインソール)
まず、靴紐とインソール(中敷き)は外しておきましょう。これらは汗や汚れを一番吸っている部分なので、個別に洗うのがおすすめです。特にインソールを外して内部を乾燥しやすくすることが大事ですね。
Step 2: 表面の泥・ホコリ除去
シューズが乾いた状態で、表面についた泥汚れなどを柔らかいブラシ(馬毛ブラシや使い古しの歯ブラシなど)で優しく払い落とします。いきなり濡らすと泥が繊維に入り込んでしまうことがあるので、まずは乾いた汚れを落とすのがセオリーです。
Step 3: アッパー(表面)の水洗い
アッパーがテキスタイル(布)やメッシュ素材なら、ここから水洗いです。バケツや洗面器に40℃以下のぬるま湯をためて、スポンジや柔らかい布で優しく拭き洗いする感じですね。ゴシゴシ強くこするのはNGです 。表面に施されている撥水加工(DWR)を物理的に削り取ってしまいます。
Step 4: 洗剤の使用と内部のすすぎ
汚れがひどい時は、ごく少量の中性洗剤か、GORE-TEX対応の専用クリーナーをぬるま湯に溶かして使います。この時、漂白剤や柔軟剤は、フィルムの性能を損なう可能性があるので絶対に使わないでください。
そして大事なのが、靴の内部もしっかりすすぐこと。バケツに新しいぬるま湯をためて、靴の中に湯を入れてジャブジャブとすすぎ、内部に溜まった汗の塩分や皮脂を洗い流しましょう。
お手入れの基本手順
- 靴紐とインソールを外す(別で洗う)
- 乾いたブラシで表面の泥やホコリを落とす
- ぬるま湯(40℃以下)でスポンジや布を使って優しく表面を洗う
- 洗剤を使う場合は、中性洗剤か専用洗剤を少量にする(漂白剤・柔軟剤は厳禁)
- 靴内部もぬるま湯でしっかりすすぎ、汗や塩分を流す
スエード素材の注意点
アッパーがスエードやヌバックの場合、お手入れの難易度が少し上がります。基本は「水洗いを極力避ける」のがセオリーですね。
基本はブラッシング
日常のケアは、スエード専用のブラシ(毛並みを起こすゴムブラシや真鍮ブラシ)でのブラッシングが中心です。毛並みに逆らって汚れをかき出し、最後に毛並みを整えるイメージですね。力は入れすぎないように注意です。
部分的な汚れには
部分的な頑固な汚れは、専用の消しゴム(クリーナーバー)で軽くこすってみてください。強くこすると色落ちの原因になるので、優しく、が基本です。
汚れがひどい場合
それでも落ちない汚れには、スエード専用のクリーナー(スプレータイプや泡タイプ)を使います。この場合、必ず「GORE-TEX対応」かを確認し、目立たない箇所で試してから全体に使うようにしましょう。
最終手段としてスエードシャンプーでの丸洗いもありますが、革が硬くなったり色落ちしたりするリスクも高まるので、これは本当に最後の手段と考えたほうが無難かなと思います。
スエード・ヌバックの注意点
基本はブラッシング対応です。水洗いは可能ですが、素材の風合いを損ねるリスクがあります。まずは専用のクリーナーや消しゴムで対応し、水洗い(シャンプー)は最終手段と考えるのがおすすめです。
レザー素材のケア方法
スムースレザー(表革)の場合も、まずは水拭きからですね。ダナーライトのようなタフなブーツだと、水で丸洗いしちゃう人もいるみたいです。
ただ、一般的なレザースニーカーやビジネスシューズの場合は、まず水を含ませた柔らかい布やスポンジで汚れを拭き取ります。その後、レザー専用のクリーナー(これもGORE-TEX対応品を選びたいですね)で汚れを落とします。
大事なのは洗った後。レザーは水分と一緒に油分も抜けてカサカサになっちゃうので、GORE-TEX対応の保革クリームや撥水剤での栄養補給が必要です。
ここでも注意点が。登山靴とかだと革を柔らかくしすぎるミンクオイルはNGとされてるみたいです。また、油分がGORE-TEXの穴を塞がないよう、ワックス系やシリコン系の保革剤は避けるのが賢明ですね 。必ず「GORE-TEX対応」と明記された、フッ素系などの専用保革剤を選びましょう。
臭い対策と内部の洗浄
外側だけじゃなく、内側のケアも大事です。汗や皮脂が溜まると、それがバクテリアのエサになり、蒸れや不快な匂いの原因になりますからね。
洗い方の手順でも触れましたが、アッパーを洗う時に、靴内部もぬるま湯でしっかりすすぎましょう。バケツにぬるま湯をためて、そこに靴をドボンとつけてジャブジャブするイメージです。内部のライニングに染み込んだ汗の塩分を溶かし出すことが目的です。
日常的な臭い対策としては、市販の消臭スプレーの使用もOKとされています 。アルコールベースですぐ蒸発するタイプなら、透湿性を妨げる心配も少ないかなと思います。履いた後にインソールを外して、内部とインソール両方にスプレーしておくと効果的ですね。
それでも匂いが取れない!という場合は、やはり根本原因である内部の塩分や皮脂を洗い流す、前述の「内部のすすぎ洗い」が一番効果的だと思います。
やってはいけない乾かし方

はい、ここ!お手入れの中で一番重要と言ってもいいかもしれない「乾燥」です。ここで失敗すると、高価なシューズが一発でダメになる可能性もあります…
ゴアテックスシューズの乾燥で絶対にやってはいけないこと。それは「直接熱を加えること」です。(出典:GORE-TEX公式サイト フットウェアのお手入れ方法)
【絶対禁止】の乾燥方法
- ストーブやヒーターの前に置く
- ヘアドライヤーの熱風を当てる
- 直射日光に当てる
- コタツやファンヒーターの温風
- 車のダッシュボードに放置する
なぜかというと、高温はGORE-TEXフィルム自体を傷めたり、アッパー素材とメンブレンを貼り合わせている接着剤(ラミネート)を剥がしたりする(=デラミネーション)原因になるから。こうなるともう修復不可能です…
じゃあどうするか?答えは「適度な温度で自然乾燥させる」 。つまり、風通しの良い日陰で陰干しするんです 。
靴の中に新聞紙やキッチンペーパーを丸めて詰めて、内部の水分を吸わせ、こまめに取り替えると早く乾きますよ。あと、濡れたまま放置するのもNGです 。洗ったらすぐ乾燥プロセスに入りましょう。
ちなみに、ブーツドライヤーは使ってもOKですが、「対流式」という熱風が出ないで室温の空気を循環させるタイプのものに限ります 。高温の熱風を吹き込むタイプは絶対ダメです。
応用編:ゴアテックスシューズ お手入れ方法

基本的な洗い方と乾かし方がわかったら、次は性能を長持ちさせるための「撥水処理」や「保管方法」です。特に撥水スプレーの選び方は、シューズの寿命を左右するくらい重要なので、ぜひチェックしてください!
撥水スプレーの正しい使い方
ゴアテックスの性能をフルに発揮させるには、表面の「撥水性」が鍵になります。
「あれ?防水なんでしょ?」って思うかもですが、これはGORE-TEXメンブレン(防水膜)の話ではなく、アッパー生地(表面)のDWR(耐久撥水)加工の話です。
このDWRが効いていると、水は表面で玉になって転がり落ちます。しかしDWRが切れると、アッパー生地が水を吸ってベチャベチャの状態(Wetting Out=水濡れ)になります。この表面にできた「水の膜」がGORE-TEXメンブレンの孔を物理的に塞いでしまい、内部の汗が放出されなくなり、結果として「蒸れ」が発生するわけです。
だから、撥水性を回復させる目的は、「透湿性を妨げないようにするため」なんですね。撥水が落ちたなと感じたら 、お手入れのタイミングです。
使い方は、クリーニングしてシューズがまだ湿っている状態でスプレーするのが効果的みたいです。均一にスプレーしたら、数分置いて余分な液体を乾いた布で拭き取り、あとは「やってはいけない乾かし方」で説明した「自然乾燥」で完全に乾かします。
ウェアとシューズの「熱処理」の違い
GORE-TEXの「ウェア(服)」は、洗濯後に乾燥機やアイロンで熱を加えることでDWR(撥水性)が回復する、と推奨されることが多いです。
しかし、「シューズ」の場合は別。シューズは接着剤や異なる素材(革、ゴム、布など)が複雑に組み合わさっているため、ウェアと同じ感覚で熱を加えると、デラミネーション(剥離)や素材の変形を引き起こすリスクが非常に高いです。シューズの撥水スプレーは「熱処理不要」タイプを選び、自然乾燥させるのが最も安全かなと思います。
禁止のシリコン系スプレー
ここ、テストに出ます(笑)っていうくらい大事なポイントです。
撥水スプレーなら何でもいいわけじゃありません。「シリコン系」や「ワックス系」の撥水剤、撥水ワックスは絶対に使わないでください 。
なぜシリコン系はNG?
シリコンやワックス(油性・樹脂性)は、GORE-TEXメンブレンのあの小さな「穴」を物理的に埋めて、油膜で蓋をしてしまうんです。
一度塞がってしまうと、もう元には戻せません。透湿性がゼロになったゴアテックスシューズは、ただの「ゴム長靴」と同じ…。高かったシューズが台無しになっちゃいます。
じゃあ何を選ぶか?答えは「フッ素系」の撥水スプレーです。フッ素系は、繊維一本一本をコーティングして水を弾く構造なので、生地の「孔」を塞がず、透湿性を保ってくれます。
必ず「GORE-TEX対応」とか「透湿性素材対応」って書いてある製品を選んでくださいね!
| 種類 | 主成分 | GORE-TEX適性 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| フッ素系 | フッ素樹脂 | ◎ 最適 | 水を弾き、油も弾く。透湿性を妨げない。GORE-TEX対応品はこれ。 |
| シリコン系 | シリコン樹脂 | × 絶対NG | 安価で撥水力が高いが、メンブレンの孔を塞ぎ、透湿性を失わせる 。 |
| ワックス系 | ロウ、油脂 | × 絶対NG | 革製品などに使うが、孔を完全に塞ぐためGORE-TEXには使用不可 。 |
洗濯機での丸洗いは可能か
「ゴアテックスのウェアは洗濯機OKって聞くけど、靴はどうなの?」って疑問、ありますよね。
結論から言うと、私は「シューズの洗濯機洗いは推奨しない」派です。
GORE-TEXの「ウェア(服)」は、ネットに入れて中性洗剤で洗うことが推奨されています 。しかし「フットウェア(靴)」は、構造がまったく違います。
ウェアと違って、シューズは色々なパーツが複雑な接着剤でくっついています 。洗濯機の強力な水流や叩きつける衝撃は、アッパー素材を傷めたり、最悪の場合、接着が剥がれて型崩れやデラミネーション(剥離)を引き起こす原因になるリスクが高いかなと。
「丸洗い」自体はOKですが、それはあくまで「洗濯機を使わない」という意味。紹介したみたいに、バケツやシンクでの優しい「手洗い」にしておくのが、シューズを長持ちさせる秘訣だと思います。
寿命を延ばす保管方法

シーズンオフなどで長く履かない時の保管方法も大事ですね。しっかりメンテナンスしてる人は、10年以上使ってるケースもあるみたいですよ 。
ポイントは3つです。
GORE-TEXシューズ 保管の三原則
- 完全に乾燥させる: 湿ったままはNG!必ず陰干しでカラカラに乾かします 。濡れたまま放置は厳禁です 。
- 風通しの良い場所で: 購入時の箱やビニール袋は蒸れるのでNG。「風通しがいい場所」で保管します 。
- 広げた状態で: 「コンパクトに収納」するよりも「広げた状態で」保管することが推奨されます 。
なぜ「コンパクト収納」がダメかというと、通気性を妨げて湿気やカビの原因になるだけでなく、GORE-TEXメンブレンとアッパー素材の接着面(ラミネート)に不要なストレスを与え、剥離を引き起こすリスクがあるからです 。
シューツリー(シューキーパー)を入れて型崩れを防ぎ、オープンな下駄箱やラックなどで通気性を確保した状態がベストですね。「コンパクトに収納」は避け、「広げた状態で風通し良く」が合言葉です 。
総括:ゴアテックスシューズ お手入れ方法
最後に、ゴアテックスシューズのお手入れ方法で一番大事なことをおさらいします。
それは、「透湿性(蒸れを逃がす力)を維持すること」です。この一点に尽きますね。
そのために、「汚れを落とす(穴を詰まらせない)」「高温で乾かさない(フィルムを壊さない)」「シリコン系スプレーを使わない(穴を塞がない)」という3点を守ることが重要です。
適切なゴアテックスシューズのお手入れ方法を実践すれば、高価なシューズの快適な履き心地を本当に長く楽しむことができると思います。せっかくの高性能シューズ、しっかりケアしてあげたいですね!
| 項目 | ◎ Do’s (やるべきこと) | × Don’ts (絶対にやってはいけないこと) |
|---|---|---|
| クリーニング | ぬるま湯と中性洗剤で優しく手洗い。内部のすすぎも行う。 | 漂白剤、柔軟剤の使用。洗濯機の使用。 |
| 乾燥 | 風通しの良い日陰で自然乾燥させる 。対流式のブーツドライヤーの使用 。 | ストーブ、ドライヤー、直射日光など「直接熱」での高温乾燥 。 |
| 撥水処理 | 「フッ素系」のGORE-TEX対応撥水スプレーを使用する。 | 「シリコン系」または「ワックス系」の撥水剤・保革剤の使用 。 |
| 保管 | 完全に乾燥させ、風通しの良い場所で、型崩れしないよう「広げて」保管する 。 | 湿ったまま狭い箱やビニール袋に「コンパクトに」密閉・圧縮して保管する 。 |
※本記事で紹介したお手入れ方法は、あくまで一般的な目安です。素材や製品によっては最適なケア方法が異なる場合があるため、必ずシューズの洗濯表示やメーカーの公式サイトで情報を確認してください。高価なシューズのケアに不安がある場合は、専門のクリーニング店に相談することをおすすめします。


